【←前頁】【↑目次】【次頁→】


文書の書き方

小目次
  1. どうやって書くのか?
  2. コマンド&環境一般について
  3. LaTeXでの長さの単位
  4. 特殊文字について

lionheadどうやって書くのか?

まず、シンプルなLaTeXソース文書を紹介します:

¥documentclass[12pt]{jarticle}

¥textwidth 6.5in

¥begin{document}

Hello there!

¥end{document}


上の文章をテキストエディタで新規文書にコピー&ペーストして、「example.tex」なり適当な名前をつけて保存し、「使用方法」で説明した操作を行ってみてください。結果できた「example.dvi」をDviXで開けば、以下ような文章が表示されるはずです:



上のソースを解説すると、まずの色つきの英単語がLaTeXのコマンドです。「はじめに」でも書いたように、LaTeXはマークアップ言語形式で文書を作成しますので、文書中に挿入された各種コマンドによって、その文書の部分(語の斜体化、目次の生成)や全体(用紙サイズの指定)を整形します。

¥begin{document}¥end{document}」コマンドは、本文の始まりと終わりを宣言するものです。だから、これに囲まれた文章「Hello There!」が実際に表示、印刷される本文になります。

冒頭に書かれている「¥documentclass[12pt]{jarticle}」コマンド は、「article」という文書クラスdocument class、後述)を使用して、さらにフォントの大きさは12ポイントでこの文書を表示させるというオプションを宣言するものです。これは一般にLaTeX文書の一番先頭に挿入されます。

¥documentclass」コマンドと、本文の始まりを示す「¥begin{document}」コマンドとの間の空間を、プリアンブル(前文)と呼びます。上の例文のプリアンブルに書かれている「¥textwidth 6.5in」は、文書の本文の幅を6.5インチにせよと指定するコマンドです。

これらコマンドの詳しい説明は次頁以降に譲りますが、とにかく

  1. 文書クラス(とそのオプション)の指定
  2. 文書のプリアンブル(前文)
  3. 文書の本文

LaTeXソース文書の最も基本的な骨組みであるということです。



最終的には色々盛り込まれて:

  1. 文書クラス(とそのオプション)の指定
  2. 前文/プリアンブル
  3. 表紙
  4. 概要
  5. 目次
  6. 本文
  7. 参考文献
  8. 索引

というような構成になります(無論、シンプルな文書であれば「文書クラス」と「本文」のみで済みます)。そして、これら文書の骨格を構成する要素は、皆コマンドによって生成されます。つまりぶっちゃけた話、LaTeXの使い方を学ぶと言うことは、文章を構成、整形するためのLaTeXコマンドおよび環境の使い方を学ぶということなわけです。LaTeXのアプリを操作してやることはコンパイルのみ。メインはLaTeXコマンドを駆使しテキストエディタでソース文書を作成することです。




lionheadコマンド&環境一般について

全てのLaTeXのコマンドは半角英語で表記され、頭に「¥」マークがついています。(「¥」は日本語フォントでは「¥(円)」のマークですが、英語フォントでは本来バックスラッシュ「\」です)。コマンドはまた「case sensitive」です。小文字のものなら小文字で、大文字なら大文字で入力せねばなりません。例えば「¥large」と「¥LARGE」では全く別のコマンドとして認識されます。

コマンドは一般に:

¥コマンド名[…オプション…]{…引数…}


という形式をとります。上の例では「¥documentclass[12pt]{jarticle}」がそうです。{…}括弧内で指定されるのものを引数argument)と呼び、[…]括弧内で指定するものをオプションoption)と呼びます。{…}内で指定される引数がメインですので、これは必須です。オプションはそのオマケ、追加指定ですので、必須ではありません。「¥documentclass}」コマンドなら、文字通り文書クラスを指定するためのコマンドですから、「article」等の文書クラスを言う引数指定が必須です。一方、「12pt」などのフォントの大きさを指定するオプションはおまけですので、いらなければ入れる必要はありません。

オプションは複数指定することができます。その場合には、各オプションをコンマで区切って列記します。例えば「¥documentclass[11pt, twocolumn, a4paper]{article}」と書けば、フォントのサイズは11ポイントにして、2段組、A4用紙を使用することを追加指定します。

LaTeXでは、コマンドに加え更に環境(environment)というものも使われています。これの一般形は:

¥begin{…環境名…}

文章がここに入る

¥end{…環境名…}


です。環境は、「¥begin」コマンドと「¥end」コマンドの間に入る文章に適用されます。{…}内の引数が環境名です。上の例では、本文の終わりと始まりを宣言する「¥begin{document}」と「¥end{document}」がそうです。「document」が環境になります。「¥begin{}」「¥end{}」コマンド自体は、環境の始まりと終わりを宣言するだけのもので、自体では何もしません。メインは{…}の中で指定されている環境の方です。

コマンドか環境かの違いは大して重要ではありませんので、個々のコマンドなり環境が何をするかについて憶えておけば十分です。一応、環境の場合は、文書のある部分全てに関わる体裁(つまり「環境」)を根本的に変更する際に使われるようです。例えば、引用や参考文献、表、箇条書きなど、普通の文章の本文とは書式が全く異なるものを書く場合に「環境」が変更されます。一方、コマンドは暫し適用範囲を指定することなく単発で使われます。




lionheadLaTeXでの長さの単位

LaTeXでは空白スペースの大きさなど、長さを指定するコマンドが幾つかあります。その際使用できる長さの単位は以下の通りです:

単位 1単位の長さ
pt ポイント。1pt=0.35mm。
in インチ。1in=25.4mm=72.27pt。
mm ミリメートル。1mm=2.85pt。
cm センチメートル。1cm=10mm。
em 現在有効な書体の文字Mの幅。
ex 現在有効な書体の文字xの高さ。
zw 現在有効な全角漢字の幅。
zh 現在有効な全角漢字の高さ。


例えば、「本文」の章で解説している10文字分の空白スペースを挿入するためのコマンドは「¥vspace{10em}」と表記します。長さの数値と単位の間にはスペースは入れません。




lionhead特殊文字について

LaTeXでは「¥」マークなど、幾つかの記号がコマンド用に割り当てられていて、これらはそのまま書いてもLaTeXに解釈されてしまうので表示されません。LaTeXにコマンドの一部として読み込ませずに、そのまま表示させるには特別な表記法を用います:

記号 表記法 説明
¥ $¥backslash$ 半角のバックスラッシュ(\)。日本語フォントでは円マーク(¥)になります。主に各種コマンドの先頭に使われます。
{、} ¥{、 ¥} コマンドや環境の適用される範囲の始まりと終わりを示します。
# ¥# マクロのパラメータ、配列の配列要素を表します。
% ¥% コメントアウトする部分の冒頭に用います。
$ ¥$ 数式環境の始まりと終わりを示します。
^ {¥char'176} 数式環境において、上付きの添字をつけます。「¥textasciicircum」としても表記できます。
_ ¥_ 数式において、下付きの添字をつけます。
& ¥& 表などにおいて、項目間の区切りに使います。
~ {¥char'136} 「改行しない空白」を出力するのに使います。 「¥textasciitilde」としても表記でます。
>、> $>$、$<$ これらには特別な意味はありませんが、数式環境以外で用いると、それぞれ「!」「?」を逆さまにした文字を出力してしまいます。


さらに、始まりと終わりの半角のクォーテーションマークには「`」と「'」を使い、LaTeXの方でこれを内側にくびれたもの(「‘」「’」)に変えてを表示します。ダブルクォーテーションマークの場合は「``」「''」と二度繰り返します(それぞれ「“」「”」になる)。キーボードにある1文字のダブルクォーテーションマーク「"」は、常に閉じる側に括れたもの(「」)になるので、これを二つ引用の始まりと終わりに使うと少しおかしなことになります(”つまりこういう風になってしまう”)。

他にも、以下のような特殊記号がコマンドによって表示することができます:

記号 表記法 説明
¥pounds ポンドの記号。£。
¥P パラグラフ(段落)記号。¶ 。
¥S 章の記号。§ 。
¥dag ダガーマーク。
¥ddag ダガーマーク2。
¥copyright コピーライトの記号。©。
¥textregistered 登録商標記号。® 。



記号 表記法 説明
¥ae 英語以外のヨーロッパ言語で使う。
¥AE 英語以外のヨーロッパ言語で使う。
¥o 英語以外のヨーロッパ言語で使う。
¥O 英語以外のヨーロッパ言語で使う。
¥oe 英語以外のヨーロッパ言語で使う。
¥OE 英語以外のヨーロッパ言語で使う。
¥l 英語以外のヨーロッパ言語で使う。
¥L 英語以外のヨーロッパ言語で使う。
¥aa 英語以外のヨーロッパ言語で使う。
¥AA 英語以外のヨーロッパ言語で使う。
¥i 英語以外のヨーロッパ言語で使う。「i」にアクセント記号をつけるときに使うための、点のない「i」。
¥j 英語以外のヨーロッパ言語で使う。「j」にアクセント記号をつけるときに使うための、点のない「j」。
¥ss 英語以外のヨーロッパ言語で使う。


記号 表記法 説明
¥`{o} アクセント記号(「o」に付く)。
¥'{o} アクセント記号(「o」に付く)。
¥^{o} アクセント記号(「o」に付く)。
¥~{o} アクセント記号(「o」に付く)。
¥={o} アクセント記号(「o」に付く)。
¥.{o} アクセント記号(「o」に付く)。
¥u{o} アクセント記号(「o」に付く)。
¥v{o} アクセント記号(「o」に付く)。
¥H{o} アクセント記号(「o」に付く)。
¥t{o} アクセント記号(「o」に付く)。
¥c{o} アクセント記号(「o」に付く)。
¥d{o} アクセント記号(「o」に付く)。
¥b{o} アクセント記号(「o」に付く)。
¥r{o} アクセント記号(「o」に付く)。


記号 表記法 説明
¥LaTeX LaTeXのロゴマーク。
¥LaTeXe LaTeX2eのロゴマーク。
¥TeX TeXのロゴマーク。


以下のコマンドは、後述する数式環境内で用いるものなので、本文中で使用する際には前後を「$」で囲ってやる必要があります:

記号 表記法 説明
$¥heartsuit$ ハートマーク。
$¥spadesuit$ スペードマーク。
$¥diamondsuit$ ダイヤマーク。
$¥clubsuit$ クローバーマーク。
$¥circ$ 小丸。
$¥frown$ 上半円。
$¥smile$ 下半円。
$¥diamond$ ダイヤモンド。
$¥triangle$ 三角。
$¥bullet$ ブレット。
$¥star$ 星。
$¥ast$ アスタリスク。
$¥flat$ フラット。
$¥natural$ ナチュラル。
$¥sharp$ シャープ。


【←前頁】【↑目次】【次頁→】