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文書クラスとプリアンブル

小目次
  1. 文書クラス
  2. 文書クラスのオプション
  3. プリアンブル、前文

lionhead文書クラス

文書の書き方」の章では、(1)文書クラス(とそのオプション)、(2)プリアンブル(前文)、そして(3)本文がLaTeXソース文書の基礎であると述べました。このページではそのうちの 文書クラスプリアンブルについて述べます。まず文書クラスとは、見出しの出力形式や、1ページの行数、1行の長さといった基本的な出力形式をまとめて指定するものです。本文領域の幅や行数他の設定を文書を作成するたびにいちいち書いていくのは面倒だから、これらを「クラス」として予め纏めておき、文書内から呼び出すだけで何度も繰り返し使えるようにしたわけです。言ってみれば新規文書のデフォルト設定、あるいはワープロのテンプレートのようなモノです。文書のクラスは、文字通り「¥documentclass{クラス名}」コマンドによって指定します。これは通常、文書の一番はじめの行に挿入される、必要不可欠なコマンドです。

¥documentclass{article}
¥begin{document}
本文。
¥end{document}



上の例ではarticleクラスが指定されています。articleクラスの出力形式はtexmfフォルダ内にある「article.sty」というファイルに書かれており、それを¥documentclassコマンドで呼ぶことで使うわけです(一般に、他のファイルを呼び出すコマンドでは、呼び出されるファイルの拡張子がそれぞれ決まっているので、拡張子は不要です;¥documentclassコマンドの場合は「….sty」「….cls」のみ)。LaTeX文書中で文書クラスを指定するために書くのはたったの1行だけですが、これは外部にある文書クラスの出力情報を記したスタイルファイルを呼び出すものですから、実際には何百行にもわたるコマンドがこの1行だけで実行されています。

よく使われる文書クラスには以下のようなものがあります。

article、 jarticle 論文。¥part (部)、 ¥section (節)、¥subsection (小節)、 ¥subsubsection (小々節)、 ¥paragraph (段落)、 ¥subparagraph (小段落)から成る論理構造を持つ。
report、 jreport レポート。上記に¥chapter (章、 ¥part¥sectionの中間の構造)が加わる。
book、 jbook 本。両面印刷を前提として、奇数ページと偶数ページのレイアウトが変えてある。


jarticlejreportjbookは、日本語の文書に用います。これらを用いると、日本語表示が出来るほかに、目次や参考文献の見出しなどが日本語のものに変わります(例:References→参考文献)。またpLaTeX2eでは「tarticle」「treport」といった縦書き対応の文書クラスも利用できます。

細かな出力形式の変更をしたい場合には、文書クラスファイルを修正するなり、自ら新しい文書クラスファイルを作ることになります。が、LaTeX学びたての頃はとりあえず「article」クラスなりを選択しておくだけで十分です。もし 上記以外の他所から入手した文書クラスを使用したり、自作の文書クラスを使用する場合には、その文書クラスを定義しているファイルのルート名(拡張子を抜いたファイル名。「theis_format_of_my_school.sty」なら「theis_format_of_my_school」)を「¥documentclass{…}」コマンドの{…}括弧内に入れます(「¥documentclass{theis_format_of_my_school}」)。こういった追加パッケージの使用法などについては後に応用編で詳しく述べます。




lionhead文書クラスのオプション

文書クラスには、さらに細かなオプションを追加できます。「¥documentclass[オプション]{クラス名}」コマンドの[…]括弧に入るのがオプションです。先にも述べたように、オプションを複数指定するには各オプションをコンマで区切って列記します。例:「¥documentclass[11pt, twocolumn, a4paper]{article}」。articlereportbookクラスのオプションには以下のものがあります:

10pt、11pt、12pt 文章全体のデフォルトのフォントサイズを指定できます。指定しないと10ptになります。10pt、11pt、12pt以外の大きさを指定するには、少々面倒な手続きを要さなければなりません(後述)。
onecolumn、twocolumn onecolumn を指定すると、本文は1段組で組版されます。twocolumnを指定すると2段組になります。指定しない場合は1段組です。
oneside、twoside onesideを指定すると、すべてのページが同じ体裁で出力されます。twosideを指定すると(両面印刷を前提として)、偶数ページと奇数ページが異なる体裁で出力されます。これらのオプションを指定しない場合、bookクラスではtwosideが用いられ、その他の文書クラスではonesideが用いられます。
final、draft 文書の一部が用紙サイズを越えて外にはみ出してしまう場合、draftを指定しているとその箇所にマークを付けます。Finalでは無視して出力します。デフォルトはFinalです。
a4paper、a5paper、b5paper、b4paper、letterpaper 印刷用紙のサイズを指定します。デフォルトは、日本語クラスではa4paperが用いられます。欧文用の文書クラスでは「letterpaper」になります。a4paper=8 1/4 * 11 3/4、a5paper= 5 7/8 * 8 1/4、b5paper= 7 * 9 7/8、b4paper=、letterpaper=8 1/2 * 11 (単位inch)。
landscape 用紙を横長に使うよう指定します。
titlepage、notitlepage 表紙(タイトルページ)を独立したページにする場合には「titlepage」オプションを指定し、しない場合には「notitlepage」オプションを指定します。表紙は、bookクラスとreportクラスではデフォルトで独立したページとなり、articleでは改頁されずに出力されます。


本文で使用するデフォルトのフォントはComputer Modern (CM) なのですが、オプションではこれを容易に変更することはできず、少し回りくどい操作を行う必要があります(後述)。

例えば、(A)縦書きの、(A・1)B5用紙を使って、(A・2)文字サイズ12ポイント、(A・3)用紙横置き、(A・4)2段組の文書を作成するには、オプションを以下のように指定します:

¥documentclass[b5paper,12pt,landscape,twocolumn]{tarticle}
¥begin{document}

本文です。本文です。リンゴ。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。本文です。

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¥end{document}





lionheadプリアンブル、前文

¥documentclass(文書クラスの指定)」と「¥begin{document}(本文の始まり)」の間の部分をプリアンブル (前文、preamble) といいます。ここで文書のタイトルやマージンの大きさなど様々な設定を行うことが出来ます。文書クラスでデフォルトで指定された仕様もここで少し修正できます。

¥documentclass[12pt]{jarticle}

¥evensidemargin 0.0in
¥oddsidemargin 0.0in
¥topmargin 0.0in
¥textwidth 6.5in
¥textheight 8.0in
¥headheight 0.0in
¥headsep 0.0in
¥topskip 0.0in
¥textheight 9.0in

¥begin{document}
Hello There!
¥end{document}


上で挿入されているのはLaTeX文書の版面を構成するためのパラメータです。各種パラメーターは以下の通り:

1.¥paperwidth用紙の横幅。 版面
2.¥paperheight用紙の高さ(縦幅)。
3.原点用紙の左上、左横から1インチの点。1インチがデフォルトのマージン(余白)値で、¥topmargin、¥oddsidemargin、¥evensidemarginなどのパラメータはこれを基準に換算される。例えば「¥topmargin 1.0in」ならデフォルトに加算して計2インチのマージンがとられる。「¥topmargin -1.0in」ならマージン無し。
4.¥topmargin上のマージン。
5.¥oddsidemargin、¥evensidemargin左のマージン。奇数・偶数ページのデザインが同じ場合(oneside)には、¥oddsidemarginで指定。違う場合(twoside)には¥oddsidemarginが奇数ページ、¥evensidemarginが偶数ページの余白を指定する。
6.¥textheight本文領域の高さ(縦幅)。
7.¥textwidth本文領域の横幅。
8.¥headheightヘッダーの高さ。ヘッダーにはページ番号や章の名前などが入る。
9.¥headsepヘッダー下端と本文領域との間の幅。
10.¥footskip本文領域下端とフッター下端との間の幅。フッターには脚注などが入る。


コマンドの後に長さと単位を書きます。「in」はインチ、「cm」はセンチです。 例:「¥textheight 13.0cm」。コマンドと長さの数字の間には半角スペースが一つ入りますが、数字と単位の間にはスペースは入れず連続して書きます。

他にもプリアンブルではパッケージを呼び出したりタイトルの設定を行ったりと、色々設定できるものがありますが、それは適宜、後の頁で解説していきます。なお、プリアンブルは必須ではありませんので、追加設定する必要が無いときは何も書かなくても全く問題ありません(必要最低限の要素は文書クラスと本文のみ)。


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