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参考文献

小目次
  1. thebibliography環境
  2. ¥bibliographyコマンド
  3. 文献データベースの作成
  4. データベースからの参考文献の出力
  5. 参考文献出力スタイルの変更

lionheadthebibliography」環境
参考文献も目次と似たような形でLaTeXが自動的に生成します。一般に、参考文献は本文の終わりに置きますから:

  1. 文書クラスとオプションの指定
  2. プリアンブル
  3. 目次
  4. 本文
  5. 参考文献

となりますが、これもまた目次同様、望むのであれば好きな位置に表示することが出来ます。参考文献の生成には2つの方法があります。1つが「thebibliography環境を用いるシンプルな方法。もう1つが 「¥bibliographyコマンドを使う、bibtex Bibtexプログラムで生成される文献データベースを利用した方法です。最初に「thebibliography」環境を使う方法を説明します。文献データベースを使う方法はその応用ですので、文献データベースを使う方法を学びたい場合にも、まず「thebibliography」環境の使い方に関して読んでおいてください。

thebibliography」環境を使う参考文献ページは、以下の形式で書きます:

¥documentclass[12pt]{article}
¥begin{document}

テキストテキストテキストテキストテキスト¥cite[option]{key}

¥begin{thebibliography}{longest-label}

¥biblitem[label]{key} entry
¥biblitem[label]{key} entry
¥biblitem[label]{key} entry
.
.
.
¥end{thebibliography}

¥end{document}


例えば、

¥documentclass[12pt]{jarticle}
¥begin{document}

ほげろっちょ。ほげろっちょ。ほげろっちょ。ほげろっちょ。¥cite[p. 55]{Arendt} うけえうけえ。うけえうけえ。うけえうけえ。うけえうけえ。¥cite{Austin}

¥begin{thebibliography}{99}

¥bibitem{Arendt} Arendt, Hanna. 1958. ¥textit{The Human Condition}. Chicago, IL: U of Chicago P.
¥bibitem{Austin} Austin, John. 1832. ``A Positivist Conception of Law'' in ¥textit{Philosophy of Law}. Belmont, CA: Wodsworth.

¥end{thebibliography}

¥end{document}


解説すると、まず「¥begin{thebibliography}{longest-label}</TT>」と「¥end{thebibliography}」で参考文献の始まりと終わり(つまり「thebibliography」環境の範囲)を宣言します。参考文献のエントリーはその間に書いていきます。目次と同じく、独立したページにするには前後(¥begin{thebibliography}の前、¥end{thebibliography}の後)に「¥break」コマンドを入れます。

参考文献ページの個々のエントリーは「¥biblitem[label]{key} entry」の形で「thebibliography」環境の中に書いていきます。デフォルトでは、個々のエントリーに「[1][2][3][4]…」といった感じで番号がふられ、番号によって参照されます。

entry」は、参考文献ページで実際に表示される文章です。ここに作者、本の題名、出版社などを書きます。

key」は、本文中から参照する際のキーワード、目印です。重複しないよう、それぞれ独自のモノを付けていきます。

label」オプションは、デフォルトの番号の変わりに別のテキストを本文で表示させて参照させたい場合に使います。例えば、「[1]」の変わりに「Arendt 1958」と表示させたい、本文で「ほげろっちょ。[1, p 55]」でなく「ほげろっちょ。[Arendt 1958, p 55]」と表示させたいなら、文献エントリーでこう表記します:
¥biblitem[Arendt 1958]{Arendt} Arendt, Hanna. 1958. ¥textit{The Human Condition}. Chicago, IL: U of Chicago P.
こうすれば、この文献を参照した際、数字の変わりに[…]内に書いたラベルが表示されます。なお「label」はオプションですから必須ではありません。

本文中から文献を参照するには「¥cite[option]{key}」コマンドを使います。ここで参考文献エントリーのキーワードを使うことで、呼応させるわけです。「¥cite{…}」の{…}内に書いたキーワードと、同じモノを与えられた参考文献エントリー「¥biblitem{…}」が参照されることになります。上の例では、オースティンの“A Positivist Conception of Law”にキーワード「Austin」が与えられ、番号は「[2]」になっています。これを、キーワード「Austin」を使って本文中から参照している箇所が「…うけえうけえ。¥cite{Austin}」です。だから本文中の参照も同じ番号「…うけえうけえ。[2]」となっています。¥citeコマンドのoptionは、ページ番号など、その箇所のみの情報を加えるためのものです。「ほげろっちょ。¥cite[p. 55]{Arendt}」では「55ページを参照せよ」ということで、[…]内に「p. 55」と入れてあります。その出力「[1, p. 55]」は「参考文献[1]の55ページを参照しろ」を意味します。

¥begin{thebibliography}{longest-label}」の「longest-label」には、独自のラベルを使っていない場合には最も桁数の大きい番号を、オリジナルのラベルを使っている場合は最も文字数の多いラベルを入れます。例えば、「label」オプションを使用しないで、参考文献の数が50個あったなら、何か二桁の数字を入れておきます:「¥begin{thebibliography}{99}」。桁数/文字数が重要なので、同じ桁であれば何の数字でも構いません(15でも77でも同じ桁数なので同じ事)。「label」オプションを使った場合には、最も文字数の多いラベルをここに入れます。例えばそれが「Arendt 1958」であったなら「¥begin{thebibliography}{Arendt 1958}」となります。

複数の文献を参照する場合には、「¥cite{labelその1, labelその2,…}」といった具合に、ラベルをコンマで区切って列記していきます。例えば、「ほねほね。¥cite{Arendt, Austin}」と書けば、出力は「ほねほね。[1, 2]」となります。




lionhead¥bibliography」コマンド

thebibliography環境を使用してのシンプルな参考文献は、見出しコマンドを拾ってLaTeXプログラムが自動生成する目次と異なり、結局自分で参考文献のエントリーを個々に手書きで書いていかなければならず、あまり便利なものとは言えません。LaTeXの方で行われるのは文献にふられる番号([1]、[2]…等)の計算だけです。

一方、bibtex Bibtexプログラムを利用する¥bibliographyコマンドで参考文献を生成する場合には、作業効率が飛躍的にアップします。Bibtexによる参考文献生成の大まかな仕組みは:
  1. 参考文献データベースを用意する。
  2. ソース文書中で¥citeコマンドを使い参照する文献に印をつけていく。
  3. ソース文書をLaTeXがコンパイルする際に、挿入された¥citeコマンドをまとめ、それを元に(A)使用された文献のデータのみをデータベースから抽出し、(B)あいうえお順なり発行年順なり適当な順番に並べて整形してから、参考文献ページを出力する。
といった具合です。で、これの何が便利なのかと言いますと、第一に参考文献の出力及びそのレイアウトが一括して自動的に行われるということです。無論、レイアウトの変更も容易になります。そして、もう一つの利点は参考文献データベースを他のLaTeX文書と共有できるということです。例えば:
  1. まず大量の参考文献データを入れた「参考文献ファイル.bib」を用意する。
  2. LaTeX文書A.tex」で、「参考文献ファイル.bib」に載ってる7個の文献A、B、C、D、E、F、Gを参考にしたなら、LaTeXプログラムはその7個のデータだけを「参考文献ファイル.bib」からリストアップして参考文献ページを生成する。
  3. 後に書いた「LaTeX文書B.tex」で、E、F、G、H、Iの5個の文献を参考にしたなら、また同じ「参考文献ファイル.bib」を使って、しかし異なる内容の、LaTeX文書B専用の参考文献ページを生成する。
つまり複数の文書で同じ文献を参照した場合には、それぞれの文書の参考文献ページで繰り返し同じ本の題名を書く手間が省けるというわけです。これがthebibliography環境を使用した場合には、LaTeX文書A.texLaTeX文書B.texとで共に使用されている文献E、F、Gのエントリーを、それぞれにおいて同じ事を二度書かなければならなくなります。文献E、F、Gが更に他の多数のLaTeX文書でも参照されていれば、その数だけ同じ文献データを手書き(あるいはコピペ)していかねばなりません。¥bibliographyコマンドを使えば、その手間が全て省けるというわけです。




lionhead文献データベースの作成

¥bibliographyコマンドにより参考文献を生成するには、まず様々な本の題名や著者名、出版年、文献などを記したデータのファイルを別途にプレーンテキストで作成して保存しておきます。文献データベースファイルのファイル名には「….bib」の拡張子を付けます。個々のエントリーは以下のように書いていきます:

@BOOK
{

     Austin1962,
     AUTHOR="A. J. Austin",
     TITLE="How to Do Things with Words",
     EDITION="1st.",
     PUBLISHER="Harvard University Press",
     ADDRESS="Cambridge, MA",
     YEAR="1962"
}


1行目の@ではじまる文字が、その文献エントリーのタイプを指定します。例えば「@BOOK」なら書籍です。

2行目がkey、先述のキーワードです。これを目印に本文中の¥citeコマンドから参照します。

以降の行で文献データを挿入していきます。各データ項目は「項目の種類="項目に入るデータ",」の形で書きます。例えば出版年であれば
YEAR="1962",
などと書きます。項目に入れるデータは半角「"」で囲み、終わりには「,」を付けます。後述する参考文献スタイルによっては、項目に書かれた内容を自動的に整形して出力します。例えばplainスタイルでarticleTITLE項目に書いた英語論文名は、最初の単語のみ頭文字が大文字化され、後に続く語はbibファイル(文献データベース)でどう書かれていようと頭文字は小文字になります(例:「Essentially Contested Concepts」→「Essentially contested concepts」)。そうした処理を無視して、bibファイルに自分が書いたとおりに強制的に出力したい場合は、データを「"」の内側で更に「{」「}」で囲います:
YEAR="{1995}",
各参考文献タイプのエントリーにおける入力項目は以下の通りです:

表記
タイプ
必須項目 任意項目
@book

書籍
author/editor (著者、註1/編集者), title (題名), publisher (出版社), year (刊行年) volume/number (巻数/号数), series (シリーズ名), adress (出版社の住所), edition (版数), month (刊行月、註2), note (付記)
@inbook

書籍内の一章
author/editor (著者/編集者), title (その章/論文の題名), chapter (章番号)/pages (ページ、註3), publisher (出版社), year (刊行年)

章など書籍の一部を参照する場合に使う。
volume/number (巻数/号数), series (シリーズ名), type (文書の種類),adress (出版社の住所), edition (版数), month (刊行月), note (付記)
@incollection

書籍内の論文
author (著者), title (その章/論文の題名), booktitle (その論文を含む本の題名), publisher (出版社), year (刊行年)

論文集等に寄稿された(単体で独立した)1論文のみを参照するような場合に使う。
volume/number (巻数/号数), editor (編集者), series (シリーズ名), chapter (章番号), adress (出版社の住所), edition (版数), month (刊行月), note (付記)
@booklet

冊子
title (その章/論文の題名)

特定の出版社から刊行されていることが明白でない出版物。
author (著者), howpublished (出版形態), address (出版社の住所), month (刊行月), year (刊行年), note (付記)
@article

学術雑誌
author (著者), title (題名), journal (雑誌名), year (刊行年) volume (巻数), number (号数), pages (ページ), month (刊行月), note (付記)
@proceedings

学術会議
title (題名), year (刊行年) editor (編集者), volume/number (巻数/号数), series (シリーズ), address (出版社の住所), month (刊行月), publisher (出版社), organization (会議の主催者), note (付記)
@inproceedings

学術会議の論文
author (著者), title (題名), booktitle (その論文を含む本の題名), year (刊行年)

学術会議で発表された論文など。
editor (編集者), volume/number (巻数/号数), series (シリーズ), pages (ページ), address (出版社の住所), month (刊行月), publisher (出版社), organization (会議の主催者), note (付記)
@techreport

報告書
author (著者), title (題名), institution (研究所), year (刊行年)

研究所などから発行されている研究報告、白書、レポートなど。
type (報告書の種類), number (号数), address (出版社の住所), month (刊行月), note (付記)
@manual

マニュアル
title (題名)
author (著者), organization (会議の主催者), edition (版数), address (出版社の住所), month (刊行月), year (刊行年), note (付記)
@mastersthesis

修士論文
author (著者), title (題名), year (刊行年), school (大学名)

注:正式に出版されていないもの。
month (刊行月), address (大学の住所), note (付記), type (論文の種類)
@phdthesis

博士論文
author (著者), title (題名), year (刊行年), school (大学名)
month (刊行月), address (大学の住所), note (付記), type (論文の種類)
@unpublished

未出版物
author (著者), title (題名), note (付記)
month (刊行月), year (刊行年)
@misc

その他
なし author (著者), title (題名), howpublished (出版形態), year (刊行年), month (刊行月), note (付記)


註1:著者名(author)は「ファーストネーム(名) ラストネーム(姓)」(それぞれ半角スペースで区切る)あるいは「ラストネーム(姓), ファーストネーム(名)」(ラストネームの後にカンマ、以降半角スペースで区切る)と表記します。いずれの表記法でも、使用するスタイルに従って同じく表記されます。例えば、plain、スタイルでは「Locke, John」も「John Locke」も同じ「John Locke」になります。ミドルネームがある場合には、ファーストネームに続けて書きます:「Hegel, Georg Wilhelm Friedrich」。ラストネームが複数の語からなる場合は、ラストネームを最初に纏めて書き、カンマ、そしてファーストネームを書きます:「van Beethoven, Ludwig」。著者が複数人いる場合は、全て「and」で結びます:「author="Adam Smith and John Locke and David Hume"」。「Jr」(ジュニア)が付く場合は「author="Jones, Jr., Roy"」と表記し、「Jr」の前にカンマが付かない場合(例:「Roy Jones, Jr.」でなく「Roy Jones Jr.」)は「{Jones Jr.}, Roy」とします。

註2:刊行月(month)には、jan (1月)、feb (2月)、mar (3月)、apr (4月)、may (5月)、jun (6月)、jul (7月)、aug (8月)、sep (9月)、oct (10月)、nov (11月)、dec (12月)のいずれかを入れます。

註3:ページ番号(pages)は、数字とハイフンのみで表記します。例:「100-200」

さらに、全参考文献タイプに共通の任意項目として、「yomi」があります。この項目には、日本語版JBibTeXで著者名を漢字で書く際、文献エントリーのソートのために使う著者名の読みを書きます。アルファベット順の場合はローマ字表記、50音順の場合はひらがなで書きます。




lionheadデータベースからの参考文献の出力

参考文献ページ表示には、表示させたい位置に「¥bibliography」コマンドを挿入します。

¥documentclass[12pt]{jarticle}
¥begin{document}

テキストテキストテキストテキストテキスト¥cite[option]{label}

¥bibliography{…}

¥end{document}


¥bibliography」コマンドの引数({…}括弧の中)には使用する文献データベースファイルのルート名(「.bib」の赤字部分。拡張子は要らない)を入れます。例えば「bibdata.bib」なら「¥bibliography{bibdata}」です。

目次同様、参考文献ページ生成のためにはコンパイルを複数回行います。一度もコンパイルを行っていないLaTeX文書にBibtexを使って参考文献を入れる場合には、以下のような手順になります:

  1. まずLaTeX文書「example.tex」と参考文献データベースファイル「bibdata.bib」を用意する。



  2. example.tex」をlatexLaTeXでコンパイルにかける。すると「example.aux」他ができる。



    auxファイルには、本文中でどの文献が¥citeコマンドで参照されたかを纏めて記録してある。

  3. example.tex」をbibtexBibtexにかける。すると「example.bbl」と「example.blg」ができる。



    example.bbl」は、「bibdata.bib」と先の工程でできた「example.aux」を参照して作られた「example.tex」専用の文献データ。その中には「thebibliography」環境を使って作成したのと同じようなソースが中に書かれている。

    example.blg」の方はBibtexで処理した際のログ。エラーなどがあればここに記されている。

  4. example.tex」をlatexLaTeXで再度コンパイルにかける。すると、「example.bbl」の中身が「example.tex」 に加えられる。つまり、「example.tex」内で挿入された「¥bibliography」コマンドが「example.bbl」の中にかかれたソースに入れ替えられて、dviファイルに出力される。

  5. example.dvi」をdvixxdviで開いてみれば、参考文献ページが出来ていることがわかる。


なお、この過程で目次他(「example.toc」)も同時に作成されますので、目次他を作るためにコンパイルを再度行う必要はありません。

本文中で引用されなかった他の文献も参考文献ページに入れたい場合には、¥bibliographystyleの下に「¥nocites{追加したい文献のkey}」の形で書いていきます。bibファイルにある全ての文献を掲載したい場合は「¥nocites{*}」と書きます。




lionhead参考文献出力スタイルの変更

¥bibliographyコマンドを使う場合には、さらに参考文献の表示形式を纏めて容易に変更することができます。これを行うには「¥bibliographystyle」コマンドを使います。利用できる基本的なスタイルには以下のものがあります:

欧文用(和文用) 説明
plain (jplain) 各エントリーがアルファベット順に表示されます。参照記号は番号です([1]、[2]…)。
unsrt (junsrt) 各エントリーが本文中で参照される順に表示されます。
alpha (jalpha) 参照記号が著者名と出版年を省略化したモノになります。例:AUTHOR={A. J. Austin}、YEAR={1962}のものは「[Aus62]」。
abbrv (jabbrv) 著者のファーストネーム、題名が省略されます。


例えば「plain」スタイルを使用するのであれば、「¥bibliography{plain}」と「¥bibliographystyle」コマンドの引数に書きます。

別のオリジナルの参考文献表示スタイルを使用したい場合には、そのスタイルファイル(….bst)のルート名を引数に入れます。例えば、シカゴ形式の文献を出力する「achicago.bst」を使用するなら、「¥bibliographystyle{achicago}」と表記します:

¥documentclass[12pt]{jarticle}
¥begin{document}

¥bibliographystyle{achicago}
¥bibliography{bibdata}


¥end{document}


シカゴ形式では、著者の名字が最初に表示され、カンマの後、ファーストネームが続きます。本の題名は斜体化され、雑誌の題名はダブル・クォーテーションマークで囲まれます。

文献データベースファイルを管理するには、BibGene(フリー)などのユーテリティを使うと便利です。

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