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「哲学系掲示板」とは何か?:ネット上の「掲示板」(電子掲示板、BBS [Bulletin Board System])というのは、「ポスターや告知文などを掲示するための板」のことではなくて、自分の書いた文章を投稿して、その掲示板に集まる人達に読んでもらい、それについて意見を聞いたり会話をする場所のことです。投稿(書き込み、カキコ、記事、メッセージ)の頻度が高ければ電話でのお喋り(チャット)に近くなり、頻度が低いと新聞の投書や雑誌の愛読者コーナーに近い感じになります。 つまり当ガイドで紹介している「哲学系掲示板」というのは、ネットで哲学について自分が書いた文章を投稿して意見交換をする場、ということです。「哲学系掲示板」に興味を持ったということは、(1)哲学について人と色々話し合ってみたい、(2)1人で調べても分からなかった哲学の問題について質問してみたい、(3)自分の考えていることについて他人の意見が聞いてみたい、あるいは(4)その掲示板で進行中の哲学の話に興味があるので自分も参加してみたい、というようなことだと思います。であれば、まあ何も悩むこともなく、何処の掲示板にでも気楽に「はじめまして!」と挨拶投稿してみるのが一番です… とは言え、最初はやはり少々取っつきづらいかも知れません。インターネット(厳密にはWWW=World Wide Web)の掲示板というもの自体に不慣れな人は、まずWebBoardにあるサンプル掲示板(注:哲学とは関係ありません)やうちの休憩チャット(説明)などで、掲示板がどんなものなのかテスト投稿して試してみると良いでしょう。 掲示板システムにある程度慣れ親しんだら、次は実際に哲学系掲示板に行って投稿してみましょう。「既に人が集まって会話が進行しているところに突然割って入るのは、気が引けるなぁ」という人は、最初は個人サイトに備え付けの掲示板ではなく、Yahoo(要登録)や2chなど大手サイトが運営する匿名掲示板の方が気兼ねせず書き込みできて良いかも知れません。 それぞれの掲示板で主に話されている哲学のジャンルに関しては、勿論、当ガイドのメインページを参照ください。哲学自体に初心者の方には哲人ぼ〜どなどがお薦めです。 個人サイトに備え付けの掲示板には、管理人が私生活でも親しくしている人達や他所のサイトで知り合った人達が常連として集まり、普段は雑談しているだけのところが多いようです。そういう掲示板に投稿したい場合には(例えば管理人がサイトに自分の興味がある哲学の問題に関する文章を公開していて、色々質問してみたい場合)、少し様子を見てから、まず自己紹介をして掲示板に参加しみましょう。よっぽど排他的な人達でもない限り、暖かく迎え入れてくれることと思います。 哲学系掲示板の歴史:インターネットが普及する以前のパソコン通信時代、アメリカの大学で実際に事務の告知等をするのに使っていた電子掲示板システムBBS(Bulletin Board System)を、学生がクラスのディスカッションや雑談など他の用途に利用するようになったのがネット掲示板の始まりです。後にはファイル交換や個人メッセージの送信、チャットなど様々な機能が組み込まれ、当時BBSはほぼパソコン通信と同義の言葉として使われていました。日本ではniftyなどが有名です。 しかしインターネットの普及と共にパソコン通信は人気が下火になってきます。パソコン通信のネットワークが同じサービス会社に加入している他の会員とのみしか交流ができないローカルな閉塞したものであったのに対し、インターネットはローカルなネットワーク同士をダイナミックに繋ぐ、大規模かつオープンなスーパーネットワークです。地元の小さなプロバイダー/ISPに加入していても、インターネットにアクセスすれば同じプロバイダーの会員のサイトだけでなく日本中、世界中のサイトを訪れることができます。当然、掲示板にも沢山の様々な人たちが参加できるようになりました。 USENETやgopher等、インターネットの世界的なネットワークを利用したサービスは色々ありますが、インターネット普及に一番貢献したのはWWW(World Wide Web)でしょう。WWWとは端的に言えば、IEやネットスケープで閲覧できるホームページのことです。「インターネットの掲示板」ということではUSENETのニューズグループがWWWに先行しますが(fj.sci.philosophy等)、これも最近ではWWW掲示板に押されて下火になってきています。USENETが掲示板機能のみに特化された素人には少々とっつきずらいシステムであったのが原因だと思われますが、掲示板システムということに関してもWWWがUSENETに勝る点が1つあります。それは 個人でも容易にオリジナルの掲示板を開設できる ということです。WWW掲示板は、当初チャットやゲストブックなど、個人ホームページに付加されるオマケ的なものとして発展してきました。 哲学の話や議論を専門に扱う掲示板サイトとしては、哲学投稿ボードが最初です。上で述べたように、インターネットは当初大学等の研究、教育機関の人たちが中心になって発展してきたわけですが、哲学もまた大学で研究される学問の一つである以上、その掲示板サイトの先駆もまたご多分に漏れません。哲ボー管理人のY.S.さんは確かどこかの大学の院生で、投稿者にも大学関係の人が結構いました。宗教絡みの思想では宗教のるつぼが沢山の人を集めていました。こちらは今の2chに近いのりで、色々アングラっぽいこともやる楽しいサイトでした。 今日、一番多く人を集めている哲学系掲示板は2chの哲学板かyahooの哲学カテゴリでしょう。これらはしかし総合サイトの単なる一角としてのものですので、USENETに近い感があります。他の哲学系掲示板は殆ど個人ホームページ備え付けのものです。 掲示板の種類:WWW掲示板のシステムには幾つかのタイプがあります: ツリー型:今は亡き哲学投稿ボードや哲人ぼ〜どなどがこのシステムを取っています。投稿記事と関連レスのタイトルをリンクで樹系列に表示し、記事はこれをクリックして一つづつ読みます。比較的長めの真面目な投稿が多くなるようです。 時系列一挙表示型:Tcupみたいな(例)ゲストブック形式のものです。新しい順に記事を上から一挙に表示します。傾向としては一対一の議論や常連同士の雑談が多くなりがちなようです。 2ch型:あめぞう、2chで使用されて人気が出たためか、最近はこの形式の掲示板も増えてきました。ツリー型と時系列一挙表示型を一緒にしたような感じです。過去ログの保存に便利なのが利点です。 その他:Yahoo!掲示板など、大手サイトでは独自のシステムを採用しているところが多いようです。あとWWWではありませんが、USENETニュースグループにも哲学系フォーラムがあります。USENETはアメリカ等の方が盛んで、日本のはあんまりなようですが(特にWWWが普及して以来): fj.sci.philosophy。 |
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掲示板の利用法:スクリプトによって利用法は少しづつ違いますが、基本は皆同じです。(1)記事の閲覧に関しては、普通のウェブページと変わりありませんので、特に説明することも無いでしょう。投稿数が多い掲示板では記事が複数ページに渡って記録されていますので、読み進む際には「次の10件」なりのボタンを押していきます。(2)記事の投稿には投稿フォームに投稿文、名前、メアドなどを記入した後、「投稿」「Submit」「Preview」などの名前の付いたボタンを押すだけです:
ツリー式などの掲示板システムでは、新しい話題を投稿する場合と、他の人の記事に対して返事(レス、Response)を書く場合とで別のフォームを使うようになってるものもあるので気をつけましょう。人の文章を自分の投稿文に引用する際には「>」「<<」などの引用符を使います: 投稿記事は読みやすいよう自分で適宜改行しておくのが賢明です。 良い例: 注意1:原稿用紙のように字数で揃えて改行しようとすると、フォントが等幅でない場合は微妙にズレて逆に見栄えが悪くなります(Macの場合、日本語フォントは全て等幅ですが、Windowsではそうではありません)。注意2:投稿記事を<PRE>タグなどで囲ってる掲示板(Tcup等)だと、改行してない投稿は一行で一直線に表示されてしまいますので、改行は必須です。注意3:極稀に改行が自動反映されない掲示板がありますが、その場合は(HTMLタグをサポートしていれば)「<BR>」を自分で入れれば改行できます。 機種依存文字(特定のOSでしか表示できない文字のこと)や半角カナはWeb上では御法度ですので使用は控えましょう。例えばWinのローマ数字(i, ii, iii)などはMacだと「(月)(火)(水)」となってしまいます。半角カナはUnix系の人に大迷惑です。 HTMLタグは、元々ウェブページ作成用の言語なんですが、WWW掲示板でも文章の修飾( 太字、 斜体、 色付き、 リンク他)に暫し利用することができます(HTMLタグの例)。掲示板によって使えるタグの使用が制限されていたり全面禁止されてる場合もあるので、使う前にはちゃんとチェックしておきましょう(タグはアラシに悪用されるので、最近では殆どの掲示板で使用禁止になっています)。掲示板にプリビュー機能がない場合は、エディタで下書きした文章をブラウザで開いて、見栄えやタグの閉じ忘れなどをチェックしましょう。 掲示板に文章を投稿する際、本文と一緒に任意で名前やメールアドレス(メアド)も入力する掲示板が殆どです。本名を名乗っても勿論かまいませんが、匿名で投稿したい場合にはハンドルネーム(handle name)を使うと良いでしょう。ハンドルとはネットのペンネームのようなものです。メアドも、公開するとチェーンメール業者のボットが見つけてスパム広告配送リストに加えてしまうことがあるので、特に必要なければ無記入にするか、記入するのでも「XXX_nospam_YYY@example.co.jp(_nospam_は抜いてね)」といった具合にメアドの中に文字列を加えておくとよいでしょう。 |
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IP/リモホ:IP(アドレス)とは、インターネットに接続されたコンピューター1台1台に割り振られる識別番号のこと、リモホ(リモートホスト名、remote host)とはインターネットに接続された遠隔地のコンピュータの名前のことです。ある掲示板投稿者のリモホが分かれば、彼/女がどの地域の、どのプロバイダーの、どのアクセスポイントを使用しているかが判明し、IPが分かれば、更にそのプロバイダと契約したどの個人であるかが調べられます。 ダイアルアップ回線ではプロバイダーに接続しなおすごとに違うIP番号が割り当てられますが、ある特定の時間帯にある特定のIP番号を使っているのは1人だけなので、プロバイダーに記録が残っている以上「専用線」の場合より少々手間取るとはいえ個人特定ができることには変わりありません。IP/リモホはまた、契約しているプロバイダに加え、アクセスしたサイトのあるサーバーにも記録が残ります。 つまり、犯罪になるような酷い誹謗中傷、個人情報晒しなどをネット上ですると、警察に通報され捕まってしまうということです。掲示板のシステムによって、IP/リモホを記録し投稿文と一緒に表示したり、表には出さなくてもソースにコメントアウトして出したり(tcup)、暗号化して出したり(2ch)、あるいは全く保存しなかったりと色々ですが、掲示板スクリプトがどうであれ、サーバーソフトの方では普通ちゃんと記録が残っているので、警察沙汰になるような事になれば身元はいずれ割れます。 ただ、サーバーに記録されているアクセスログは、酷い犯罪に関わる場合でも無い限り調査されることはありません。掲示板管理人が自分で軽微なアラシや争い事を管理する場合には、普通、掲示板スクリプトで直接アクセスログを取って利用します。掲示板スクリプトでどういった情報が知られるかをチェックするには確認君/診断君を利用するとよいでしょう。 掲示板に書き込む者の心得としては、いくらネットで匿名だからといって、安心して他人に迷惑かけるような投稿をしないことです。法律を破るような行為は言うまでもなく。IP/リモホを録っている掲示板管理人には全てお見通しですので、不用意な粗相をしでかせば後で恥をかくだけです。 もう一つ気をつけなければならないのは、書き込む自分の方では何も悪いことをしていなくても、IP/リモホを別の用途に悪用する人がいるということです。あるいは、誰に悪用されるわけでも無くとも、単に不特定多数の人に身元を知られたくない場合もある。例えば大学や会社の回線からアクセスしてる人などは、大手プロバイダと違ってリモホが知られるだけでも嫌なものです(リモホに会社名、学校名が出る)。その場合は、IP/リモホを直接表示するような掲示板に書き込まないよう気をつけることです。 IP/リモホを隠すのに匿名プロクシ(串、proxy)を使う人がいます。匿名プロクシとは、接続者が接続先へ送信する環境変数を隠蔽するサーバのことです。例えば、プロバイダAからサーバーBにあるサイトにアクセスする際、直接アクセスせず「串を刺す」ことで、つまり間にプロクシサーバーCを介することで、リモホやIPなどを隠すことができます。が、一般に公開されていないプロクシを勝手に使うのは犯罪ですし、また、プロクシサーバーにも記録はしっかり残るので、犯罪沙汰になれば身元は結局判明します。匿名プロクシはアラシに悪用されることが多いので、2chなどの掲示板では串を刺していると書き込みができなくなっています。 |
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議論について:掲示板で哲学の話をしていると議論、論争になることがしばしです。論を戦わせるのも掲示板の醍醐味ですが、あまり勝ち負けに拘るようなのは、やっぱり良くないです。 例えば、掲示板で人と話しているうちに、自分がそれまで知らなかった興味深い思想や理論などを紹介されたとします。普通に話している分には、その場でそれについて相手に教授願うことができますが、喧嘩腰議論の最中だとそうもいきません。そんなことすれば、自分の無知を認めてしまうに等しくなってしまうからです。議論に負けて恥をかくのを嫌うあまりに、素直に教えを請うことができなくなってしまう。これでは建設的な議論など望むべくもありません。ですので、攻撃的な物言いや高飛車な態度は控え、特定の観点、立場を固持して議論の勝ち負けに必要以上に執心せず、まったりした議論をするよう心がけましょう。 荒々しくない建設的な議論を心がけるには、本名を名乗ったり、それが無理な場合にもちゃんと固定したハンドルネーム(コテハン)を使うのが有効です。匿名だと人を煽るような文章を平気で書き殴ることもできますが、本名を名乗っていたりハンドルがあると、そういう言動は自分のイメージを損なうことに繋がりますので、自然と自ずから控えるようになるからです。 おまけ:詭弁の見抜き方;Fallacies(英語) |
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荒らし行為(アラシ):掲示板に迷惑をかけるような投稿をすること、またはそれを行う人を「アラシ」と呼びます。アラシ行為には以下のようなものがあります:
コピペ荒らし:その掲示板の趣旨と関係ない文章やアスキーアート/絵文字を連続して投稿し、他の掲示板参加者の会話を邪魔する行為。笑いを取るだけの他愛のないものが殆どですが、度が過ぎると警察に通報されることもありえます。 自作自演:1人で複数人の名前/ハンドルを騙り、議論等を自分に有利になるように進めようとする行為です。IP等が表示されているとすぐにバレて恥をかきます。 釣り:意図的に人を煽るような投稿をして、反応を楽しむ行為です。釣り師はまともな議論をするつもりでそういった投稿をするのではないので、ムキになって反論しても相手の思うつぼでしかありません。英語では「troll」と呼ばれます。釣りのトローリングから来ているようです(trollはまた醜いモンスターの名称でもあります)。 スパム(spam):商品やサイト、イベントの宣伝を、掲示板へ無差別に投稿する行為はスパムと見なされます。その掲示板の趣旨と関連のあるものでしたら宣伝投稿も許されるかも知れませんが、全く関係ないものの宣伝文を投稿したりするのはマナー違反です。冒頭に2、3行お世辞程度にその掲示板の趣旨にあった発言をすれば許されるというわけでもありません。どうしても宣伝したいなら、真面目にその掲示板の趣旨にあう纏まった文章を書いてから、最後にちょっと宣伝を入れる程度に押さえましょう。まあ当然のことですが、こういった迷惑行為は控えるようにしましょう。 |
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