Funado Yoichi
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イデオロギー

ラポーラはこうも言った。志度正平という日本人がラポーラ抹殺に向かったとのことだが、そんなことは何の意味もない。ラポーラとは人格でもなければ職能でもない。表向きにはカル・リアクタの指導者ということにはしてあるが、それは言ってみればただの概念なのだ。何世紀にもわたって世界史に痛めつけられてきた抵抗の概念に過ぎない。その概念の象徴としてラポーラが選ばれる。したがってラポーラとして行動する人間が20人近くに膨れあがるときもあるし、たったひとりでしかないときもある。そのときどきの状況がラポーラを選ぶのだ。抵抗の概念をそれによって具体化していくために! それだけのことだ。したがって志度正平という日本人の行動によってカル・リアクタが破壊されることはまったくありえない。肉体は抹殺できても概念は消し去ることはできないからだ。それどころか、攻撃を加えられれば概念はますます強化される…

神話の果て


「おお、アッラーよ、唯一神よ! スローガンに生き、スローガンに死んでいったこの若い魂に永遠の安らぎを!」わたしは神の存在なんか一度だって信じたことはない。だが、そう叫ばざるをえなかったのだ。「おお、アッラーの神よ、唯一神よ! 観念に生き、観念に死んでいったこの痛ましい魂に安らかな眠りを!

砂のクロニクル


歴史に方向性を与えるのは思想家の役目だ。マルクスを見よ、共産党宣言でロシア革命を呼び起こし1917年以降ベルリンの壁が崩れるまでの世界の枠組みを創りだした。ホメイニを見よ、フランスでの演説によって中東からアフリカまでイスラム原理主義を蔓延させた。わたしたちはそういうものと戦って来たわけだが、いまにして思う。新たな思想家を引っ張りださなけりゃならない。のっぺりとして締まりがなく人間の精神までも数値に置き変えてしまういまの世界に新しい緊張をもたらしてくれる思想家を。わたしはそのための検討材料となるべく戦いをこれからはじめようと思っている…」

かくも短き眠り



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